できものとは

- 皮膚のできものとしては、粉瘤やほくろもそのひとつですが、それ以外にもいぼ、脂漏性角化症、石灰化上皮腫、粘液嚢腫などがあります。
いぼとは
- いぼとは、皮膚のごくわずかな傷からヒトパピローマウイルス(HPV:ヒト乳頭腫ウイルス)が侵入し、感染することによって発症する腫瘤のことです。正式には尋常性疣贅(ウイルス性イボ)と呼びます。子どもによく見られますが、大人でも発症することはあります。発生部位ですが、手の指や足の指、手のひらや足の裏、背中など好発します。なお、いぼの初期は平らで小さいですが、だんだん大きくなって盛り上がるようになります。痛みやかゆみはありません。大きくなると、表面がザラついて硬くなります。見た目がみにくいことやウオノメと間違いやすいことなどから自ら削って取ろうとする方もいるかもしれませんが、これはいぼを広げることにもなりかねません。医療機関を受診するようにしてください。
脂漏性角化症とは
- また脂漏性角化症は、加齢による皮膚の老化が原因で発生する小さなブツブツや隆起性の良性腫瘤です。これもいぼの一種であえることから老人性疣贅とも呼ばれています。紫外線や遺伝による影響が指摘されていますが、完全には解明されていません。手のひらや足の裏以外であれば、全身どこにでも生じ、ゆっくりと大きくなっていきます。サイズは5ミリ~数センチほどと様々で、表面はかたいものもあれば、軟らかいものもあり、形状も平らなものから隆起するものまでいろいろ、色も肌色から褐色、黒色まであります。多くは無症状ですが、かゆみが現れることもあります。
いぼ、脂漏性角化症の治療とは
- いぼ、脂漏性角化症の治療については液体窒素による凍結療法が中心になります。これはいぼを繰り返しいぼを凍らせて、その組織を凍結壊死させ、取り除く療法になります。なお、1回で治し切ることは困難です。そのため何回か繰り返し通院することが多いです。
石灰化上皮腫とは
- 皮膚の一部がまるで石灰のように硬くなってしまう良性の皮下腫瘍です。原因は完全に解明されていませんが、毛母細胞に由来する腫瘍ではないかと言われています。幼児期の顔面や頸部、上肢といった部位に発症しやすいとされる皮下結節で、皮膚の直下に石みたいな硬いしこりを感じるようになります。自覚症状はありませんが、その部分を押すと痛みが生じたり、かゆみが現れることもあります。また細菌感染を起こすと赤く腫れ上がることもあります。治療が必要と判断した場合は、外科的な摘出になります。多くは局所麻酔での日帰り手術が可能ですが、腫瘍が大きかったり、年少児であれば全身麻酔による摘出になります。
粘液嚢腫とは
- 手の指の第一関節付近が腫れて変形してしまい、指が動かしにくくなる病気のことをへバーデン結節と言います。これは人差し指から小指までの第一関節が赤く腫れたり、曲がったりといった症状が現れ、痛みで強く握ることができなくなることもあります。そしてこの第一関節付近に水ぶくれのようなものができることもあるのですが、これを粘液嚢腫(ミューカスシスト)と言います。水ぶくれの中身はガングリオンと同様、透明なゼリー状の液が溜まっています。なおへバーデン結節が発症する原因は不明で、40歳代以降の女性に多く発生しやすいと言われています。傾向としては手を良く使う方がなりやすいと言われています。
- 粘液嚢腫は大きくなると皮膚が破れたりして関節内に細菌が入るなどの可能性もあることから、注射器で中身を吸引する穿刺吸引治療か、嚢腫ごと切除する外科的な摘出が行われます。指の第一関節にイボのようなものがある場合、鑑別をつけるためにも一度ご受診ください。