できもの・腫瘍
warts
できもの
皮膚のできものとしては、粉瘤やほくろもそのひとつですが、それ以外にもいぼ、脂漏性角化症、石灰化上皮腫、粘液嚢腫などがあります。
いぼ
いぼとは、皮膚のごくわずかな傷からヒトパピローマウイルス(HPV:ヒト乳頭腫ウイルス)が侵入し、感染することによって発症する腫瘤のことです。正式には尋常性疣贅(ウイルス性イボ)と呼びます。子どもによく見られますが、大人でも発症することはあります。
発生部位ですが、手の指や足の指、手のひらや足の裏、背中など好発します。なお、いぼの初期は平らで小さいですが、だんだん大きくなって盛り上がるようになります。痛みやかゆみはありません。大きくなると、表面がザラついて硬くなります。
見た目がみにくいことやウオノメと間違いやすいことなどから自ら削って取ろうとする方もいるかもしれませんが、これはいぼを広げることにもなりかねません。医療機関を受診するようにしてください。
詳しくはこちら脂漏性角化症
また脂漏性角化症は、加齢による皮膚の老化が原因で発生する小さなブツブツや隆起性の良性腫瘤です。これもいぼの一種であえることから老人性疣贅とも呼ばれています。紫外線や遺伝による影響が指摘されていますが、完全には解明されていません。
手のひらや足の裏以外であれば、全身どこにでも生じ、ゆっくりと大きくなっていきます。サイズは5ミリ~数センチほどと様々で、表面はかたいものもあれば、軟らかいものもあり、形状も平らなものから隆起するものまでいろいろ、色も肌色から褐色、黒色まであります。多くは無症状ですが、かゆみが現れることもあります。
いぼ、脂漏性角化症の治療
いぼ、脂漏性角化症の治療については液体窒素による凍結療法が中心になります。これはいぼを繰り返しいぼを凍らせて、その組織を凍結壊死させ、取り除く療法になります。なお、1回で治し切ることは困難です。そのため何回か繰り返し通院することが多いです。
石灰化上皮腫
皮膚の一部がまるで石灰のように硬くなってしまう良性の皮下腫瘍です。原因は完全に解明されていませんが、毛母細胞に由来する腫瘍ではないかと言われています。幼児期の顔面や頸部、上肢といった部位に発症しやすいとされる皮下結節で、皮膚の直下に石みたいな硬いしこりを感じるようになります。
自覚症状はありませんが、その部分を押すと痛みが生じたり、かゆみが現れることもあります。また細菌感染を起こすと赤く腫れ上がることもあります。治療が必要と判断した場合は、外科的な摘出になります。
多くは局所麻酔での日帰り手術が可能ですが、腫瘍が大きかったり、年少児であれば全身麻酔による摘出になります。
粘液嚢腫
手の指の第一関節付近が腫れて変形してしまい、指が動かしにくくなる病気のことをへバーデン結節と言います。これは人差し指から小指までの第一関節が赤く腫れたり、曲がったりといった症状が現れ、痛みで強く握ることができなくなることもあります。
そしてこの第一関節付近に水ぶくれのようなものができることもあるのですが、これを粘液嚢腫(ミューカスシスト)と言います。水ぶくれの中身はガングリオンと同様、透明なゼリー状の液が溜まっています。なおへバーデン結節が発症する原因は不明で、40歳代以降の女性に多く発生しやすいと言われています。傾向としては手を良く使う方がなりやすいと言われています。
粘液嚢腫は大きくなると皮膚が破れたりして関節内に細菌が入るなどの可能性もあることから、注射器で中身を吸引する穿刺吸引治療か、嚢腫ごと切除する外科的な摘出が行われます。指の第一関節にイボのようなものがある場合、鑑別をつけるためにも一度ご受診ください。
腫瘍
腫瘍は細胞が異常に増えることが要因で発生するもので、皮膚腫瘍には良性タイプと悪性タイプの2種類があります。ここでは悪性腫瘍の説明をします。なお皮膚の悪性腫瘍には、有棘細胞がん(扁平上皮がん)、基底細胞がん、ボーエン病などがあります。
有棘細胞がんは、有棘層(表皮の中間層)を構成する細胞から発生するがんです。長期に大量の紫外線を浴びると発症リスクが高まると言われています。なお有棘細胞がんの初期の皮膚変化が日光角化症です。発症すると硬いしこりが触れたり、表面がカサカサするほか、進行すると潰瘍状態になることもあります。
基底細胞がんは、表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞が悪性化した状態を言います。なお皮膚がんの中では最も発生が多いがんです。原因として考えられているのが、紫外線、やけどのあと(熱傷瘢痕)、外傷、放射線などです。自覚症状は現れず、見た目がほくろに似ていて、黒色もしくは黒褐色の軽く盛り上がった発疹が見られます。数年が経過すると腫瘤となり、さらに進行すると腫瘤の中心部がくぼみ潰瘍を形成します。多くは高齢者の方で、上下まぶた、鼻、上唇のまわりに発生します。
また、ボーエン病は日光などの紫外線、ヒトパピローマウイルス感染、ヒ素中毒などが原因で起きると言われている表皮の内部に発生するがんの一種になります。主な症状ですが、表面が赤くザラザラした状態の皮疹が現れ、形状は円形だけでなく、いびつな形もあります。よく胴体に発生しますが、手や陰部などにもできることがあります。そのまま放置するとがん細胞が真皮に侵入するようになりますが、この状態となるとボーエンがんと呼ばれます。
これら皮膚がんが疑われる場合、主に組織診(腫瘍の一部を採取して顕微鏡で確認)などでがん細胞の有無を確認します。がんが確認されたら直ちに治療となりますが、そのような場合は、がん専門の医療機関などをご紹介いたします。
脂肪腫
脂肪組織が増殖してできた腫瘍が表皮に出てきたものが脂肪腫で皮膚と筋肉の間や、筋肉にできます。そのため皮膚表面に発生する粉瘤とは異なります。
多くは柔らかいものが触れる感覚で自覚症状はありませんが、発生部位によっては神経を圧迫し、痛みや不快感が出ることもあります。女性に多く発症しやすいとも言われています。
脂肪種は全身どこの部位でも発生する可能性があります。大きさは様々で、1~10cmほどと言われますが、なかには10~20cmのものもできることがあります。良性の場合がほとんどですが、10cm以上のものは稀ではありますが悪性化する可能性もあり、また臓器や神経を圧迫して日常生活に支障をきたしているようであれば、手術による外科的な切除を行います。
小さければ局所麻酔下での手術が可能ですが、大きさや、部位によっては全身麻酔による切除となりますので、全身麻酔による手術が可能な病院をご紹介させていただいております。摘出してしまうと再発することは、ほぼありません。
治療の流れ
- 医師による診察
- 治療説明書による手術内容のご案内
- 施術・手術
- 抜糸(7~10日後)
※抜糸後、テーピングをしていただく場合があります。